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IT21の会 第252回(令和2年7月度)例会議事録

日時:2020年7月3日(金) 18:30～20:30
開催方法:オンライン会議方式
参加者:38名(講師含む)

配布資料:
 IT21-2007-01:フロントローディング開発の現状と将来～モノ思考から機能・モデル思考へ～
 IT21-2007-02:24期会計予算案

議事:
 18:30-18:35 連絡事項など、23期役員挨拶、初参加の方の自己紹介
 18:35-19:30 メインテーマ講演
 19:30-19:55 質疑応答
 20:00-20:15 24期役員の紹介・所信表明
 20:15-20:20 24期会計審議
 20:20-20:25 今後の予定
 20:30-21:15 オンライン懇親会

概要:
1.事務連絡
 ・23期役員挨拶
 ・初参加のご挨拶 5名

2.メインテーマ講演
 タイトル:「フロントローディング開発の現状と将来　～ダントツの価値創りを目指す～」
 講師:前田慶之氏(技術士　機械部門；株式会社　前田技術士経営研究所　代表取締役社長)
 資料:IT21-2007-01 : フロントローディング開発の現状と将来～モノ思考から機能・モデル思考へ～

2.1 講演内容:
(1)講師自己紹介
・高専から国立大学3年次編入、共通1次試験は受けず
・37年の会社勤めの後、技術士として独立、起業、法人設立

(2)技術立国日本の現状
・1980年代、日本は、アメリカに追いつき追い越せのキャッチアップ開発で絶好調だった。
・中小製造業の技術力、価格対応力、製造人口や企業数の多さ、労働者意欲の高さや勤勉さなどが
　原動力であり、産業資本主義経済の優等生、日本型生産システムが脚光を浴びる。
・1990年代に入り、この状況は激変する。
・グローバル化の大波により製造業が空洞化、技術立国日本の技術革新の根底をなす多くのものづくり技術が消滅状態になる。
・問題は、健全な危機感に乏しく、あるいは、本質的な解決策に向けて何をすべきかの行動が取れていないことである。
・研究開発でもキャッチアップ開発からフロントランナー型開発への変革が必須だができていない状態である。
・海外のGAFAなどに比べR&Dの効率的な投資ができていない。7/3付日経新聞にも掲示。

(3)どうすればいいのか
・フロントランナー型開発活動にマッチした明確な新マネージントアプローチとその新オペレーション実践が急務である。
・フロントローディング(FL)とはイノベーションの加速を目的にして、ものづくりの上流(市場)から下流までの全ライフサイクルで生み出される相乗効果や価値創造を全体最適にする開発手法
・FLの本質は開発工数を前倒しすることではなく、試作前の段階で机上、仮想環境による設計評価のQDCの向上である。

(4)FLの重要機能:『設計する』とは何か
・『設計』するとは、対象の『機能要素』と『構造要素』を分割し連結すること。
・すなわち機能要素群を特定し、それを分解可能な構造要素群に割り当て、さらに機能要素間、構造要素間で機能要素群と構造要素群の対応関係を決めることである。
・モノの構造から共通化・標準化・モジュール化には、これらの機能・構造関係を決めていくことである。
・1対1の単純な関係がモジュラー型で複雑になるとインテグラル型(例えば車)になる。
・要件⇔要素の二元表化:全ての段階でQFD(品質機能展開)を描くのがポイントとなる。
・顧客のニーズから製品仕様、設計、製造を要件⇔要素は、目的⇔手段となりながらどの段階のQFD二元表が必要かを議論する。

(5)Y社の事例と個人・組織・社会が協働するFL開発
・ルール順守やプロセスよりも、個人・組織同士の対話が重要である。
・包括的なドキュメントよりも、機能検証プロトタイプ機や動くソフトウェアがまず必要である。
・仕様に関する契約交渉よりも顧客との協調が必要である。
・計画に従うことよりも変化への対応をすべきである。
・企画開発段階からチームデザインを実施するコンカレントエンジニアリングが重要である。
・SECIモデルで重要なのは個々の暗黙知の共同化である。
・技術ばらしによるインプットからアウトプットへの決定過程の見える化が必要である。
・ＭＤＢとはモノ中心から機能中心へモデルでのQCD確度の向上である、
・アジャイル開発は強力なリーダーのもとハードウエア開発にも有効である。

(6)まとめ
・技術立国日本は崩れているが、立て直しには新製品の開発前段階活動が重要である。
・FL活動のマネージメントとオペレーションがポイントになる。
・マネージメントは、個人・組織の対話重視し、オペレーションは、モノ思考から機能・モデル思考へ変換すべきである。
・AI、ICTやIoT、シミュレーション技術を活用することで、飛躍的な「モノ・コト創り」が始まっている。
・芸術的な日本的手法と最先端の開発手法を合体し、企業や組織を越えて活躍できる技術者を増やし、ワクワクする未来を想像し皆で創造すべきである。

2.2 質疑応答
Q1.FLでご紹介されている開発はアジャイル開発のハードウェアバージョンではないかと思うが認識は正しいか、またこれは経営層にも有効ではないか。
A1:言葉は違うが認識は一致する。経営層でも、機能化による機能要件、階層化、論理モデル化し、数式化シミュレーションする有効な開発ができる。
Q2:切り口は違うがFL，QFD，各ツールなどもこれまでの日本的な手法と同じとはいえないか。
A2:根本的には同じで80年代のモデル化フレーム化もまた同じ発想である、ところが一般解が必要なことろを特殊解ばかり追い求めていたことが失敗である。
Q3:QFDは中小企業などの小さいチームの場合にも有効か
A3:実際に100-300人位の中小企業も指導したが、実際にモノから機能への変換は指導できる。
　全部をQFDでまとめるのではなく機能の構想、ロジックツリー構造要素など共通な話題として設計に使える。また基幹商品のQFDをコンセプトとしてまとめたり、製品により工夫はできる。
Q4:人材の上流ともいえる理工系の学生が減っている。国際的にも競争力がおちている。
若い人にとって理系は魅力がすくないのではないか、若い人材の発送力は是非とも必要なのだが。
A4:若い人で理系に魅力がなく文系に進む人は多い、私の息子もそうである。給料の違いも確かにある、一つにはそれを見返す意味で独立した技術士として仕事をやっている。
　国力を挙げるには技術力が重要であり、若い人に魅力を認識してもらわなければならない。

3.24期役員の紹介・所信表明
3.1 24期全体方針
　異分野の融合をもとに例会のテーマを選択
　オンライン化、インフラ環境整備、オンラインイベント、クラウドでの運営方法の確立
3.2 所信表明
 会長:富田和雄さん
　Covid-19の影響の社会的変化をイノベーションのチャンスと捉えたい。
　コミュニケーションとセキュリティが重要テーマとしたい。
 副会長:太田淳さん
　危機のなか、協力一致をお願いしたい、ITを高度活用し、全国ネットワーク展開を図りたい
 運営役員:菊地圭さん
　気軽に参加、発信、交流を進めたい。
 会計役員:冨森力さん
　効率的安定会計、遠隔の参加も推進したい。

4.24期予算案
 資料:IT21-2007-02:24期会計予算案
4.1 24期予算案
  ￥  24期予算　23期予算　23期実算
収入 762,932   743,367   745,367
支出 367,000   367,000   127,436
残金 395,932   376,361   617,932

・支出に関しては前期を踏襲。
・例会会場費用としてZOOMの有償版費用を計上。

4.2 質疑
Q1 Zoomは安いのか?
A1:Web-EXなどに比較し一番安い　2,200円/月。
   100人までのライセンスで人数は充分と考える。
Q2:今後の会議方法状況などは？
A2:今後のウィメンズプラザは10月は予約しているが、三密防止のため18人までしか入れない、
   会議でZOOMを併用するハイブリッドでの会合は運営上難しい。
　 会合の形態は今後の状況で判断していく。

・予算案は承認された。

5.連絡事項
(1)次回以降予定
　　8/7 18:00ｰ20:30 オンライン
　　　　テーマ:情報化社会のセキュリティ
　　9/4 18:00ｰ20:30 オンライン；テーマ未定。
    10/2,11/6,12/4は未定。2020年3月から5月の予定講師と調整。
　　講師の推薦、紹介、サブテーマ講演の希望など募集。

(2)アンケートへの回答をお願いします。

以上
(議事録担当)村田　一郎