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IT21の会(平成30年10月)第234回議事録

日時：2018年10月5日(金)18:30-20:30
場所：東京ウィメンズプラザ　第二会議室AB
参加者：26名(講師を含む)
配布資料：
　IT21-1810-0 CPD参加票
　IT21-1810-1「20世紀のIT技術を活用して世界70カ国を巡る方法」
　IT21-1810-2「同一人物映像に対する顔画像間欠切出し制御機構を用いたターゲット発見システム」
　IT21-1810-3 澤田技術士の略歴等
議事：
18:30-18:35 資料確認、会長挨拶
18:35-18:45 予算について
18:45-19:20 サブテーマ講演「20世紀のIT技術を活用して世界70カ国を巡る方法」
19:20-20:25 メインテーマ講演「同一人物映像に対する顔画像間欠切出し制御機構を用いたターゲット発見システム」
20:25-20:30 初参加者自己紹介

概要：
1.資料確認、会長挨拶
　配布資料の確認および会長挨拶。
2.予算報告
　濱崎会計役員より予算の変更について説明があった。
　会員活動支援費および役員会議費を減額して、講師の懇親会費を増額した。
3. サブテーマ講演
3.1 テーマ「20世紀のIT技術を活用して世界70カ国を巡る方法」
3.2 講師：黒沼精一 氏（技術士補（経営工学）、黒沼技術コンサルタント）
3.3 概要 
国内技術を海外に普及発展させるエンジニアが、増加傾向に有る。
海外にアクセスするためには空路、陸路、海路の移動手段を確保する必要がある。
本講演では、移動する際の複数データベース選択、文化的背景の理解、5つの代表的な世界の自然および都市をご紹介する。
a. サハラ砂漠
サハラ砂漠（エジプト）への行き方において、問題になるのが格安航空券のオーバーブッキングである。場合によっては300%のオーバーブッキングが発生する。
理由は購 入した人の20%ぐらいしか実際に搭乗する人がいないという想定であったり、イスラム教の行事があり旅客数が増えるためである。
最初（1990年代前半）の頃はバンコクまで行って、旅行代理店を回りエジプトまでのチケットを購入していた。
モスクワ経由でアエロフロート航空で行く方法やLCCのエアアラビアを利用する方法もある。
エジプト国内の移動のオーバーブッキング対策としては飛行機を利用せずバス、タクシー、鉄道を代替手段として計画する。
あるいは、飛行機を利用する場合、空港に5時間前に行き、座席を確保するという方法がある。
なぜならば、チェックイン搭乗手続は３時間前開始なので、先着順の有利があるからである。
現在（21世紀）はeチケットの時代である。情報リテラシーの普及に伴って、エンドユーザー（末端消費者）である搭乗者が、
自主的に航空券をコンビニ購入、スマホ購入、搭乗手続できる省力化システムが増加傾向にある。
b. ヒマラヤ山脈
イスラマバードからウルムチに行く方法として飛行機だけではなくバスがある。また、電動自転車も移動手段として利用されている。
しかし、バイクはあまり利用されてい ない。理由は部品調達が難しいこと、検問でのチェックが厳しいことが理由である。
シルクロードは北京からモスクワを経てポーランドに行くルートと北京からキルギスを経てイスタンブールに行くルートがある。
航空券の購入サイト（国際線Webサイト、skyscanner）では、格安航空券は検索結果に表示されても空席がないケースがあるので、空席を確認する必要がある。
また、LCCは手数料を要確認である。
c. アジア太平洋（ボルネオ島）
バラグーダの群れを見る場所として沖縄の慶良間や宮古島、西表島、シパダンがある。シパダンでは9時から11時の間にバラグーダの群れを見ることができる可能性が高い。
バラグーダを見ることができないときは、ほかのカメ、サンゴを見る。
d. アマゾン流域
マチュピチュやイグアスの滝に行ったことがある。総合的病害虫管理システム（IPM：Integrated Pest Management）のマルチ栽培を初めて見たのは、
南米ブラジルにおける日系人農場の試験運用だった。コーヒー豆栽培では，直射日光を遮断する効果がある農業プラスチックフィルムを使用する。
除草剤，殺虫剤，殺菌剤の節減が可能である。農業プラスチックフィルムは北海道農業でも普及した。
熱帯ブラジルとは正反対で、寒冷地北海道では保温効果のメリットが大きい。
e. ヨーロッパ横断鉄道
ロンドンからイスタンブールまで鉄道で移動できる。列車に自転車を積み込むことができるが、列車によっては持ち込むことができないものもあるので要注意である。
レイルパスあれば，複数ルートが乗り放題である。自転車積込が可能なルートを，時刻表で調べて再計画する。
PＤＣデミングサイクルの手法を活用するなど，スイス，スペイン，イタリアなどの代替案ルートを検討することが可能である。
ハンガリーは温泉天国であり，21世紀はLCC飛行機での移動が増加傾向である。ヨーロッパは，モモンドという航空券検索データベースが有効である。
質問：次はどんな国で何をやりたいか？
回答：国内業務，海外業務の双方に興味がある。ベトナム案件，中国案件，土木関連，電源関連，マネジメント分野にも興味がある。IT（いろいろなテクノロジー）で，
すでに海外で活躍しているエンジニア，これから海外で活躍するエンジニアのお役に立つことができれば幸いである。
4. メインテーマ講演
4.1 テーマ「同一人物映像に対する顔画像間欠切出し制御機構を用いたターゲット発見システム」
4.2 講師：澤田雅之 氏（澤田雅之技術士事務所 所長）
4.3 概要
今回でIT21の会での講演は5回目である。今まで業務として8年間顔画像認識の仕事を行なっていたことがあるが、今回の内容をやっていたわけではない。
今回の発表の内容であるターゲット発見システムに関連して特許の申請も行ない、審査申請から1年弱で認められた。弁理士は機械系の人で、非常に苦労した。
申請書類は全て自分で作成した。その結果、特許庁からの問い合わせはなかった。ターゲット発見システムとは、防犯カメラの映像等を分析し、リアルタイムで
対象者を発見するシステムである。これまでのターゲット発見システムはアメリカ合衆国フロリダ州のタンパ警察の例などがあるが、効果的な活用事例はない。
ターゲット発見システムは以下の2つの要件がある。
a. 監視カメラでターゲットの顔を捉えてから発見の警報を発するまで秒単位であること。
b. 他人誤認率を極力低くするとともにトレードオフの関係にある本人発見率を高くすること。
ターゲット発見システムの失敗の原因は、aは達成できたが、bは達成できなかったことにある。他人誤認率を極力低く設定した場合には本人発見率がほぼゼロとなり
ターゲットをほぼ発見できなかった。
顔画像の識別性能は、顔画像の品質次第である。90%以上の本人発見率と0.01%以下の他人誤認率を両立させる鍵は以下の2つである。
i. ターゲットとする顔画像：運転免許証写真、パスポート写真、被疑者写真等の緻密かつ鮮明な正面無表情顔であること。
ii. 監視カメラで捉える顔画像：ほぼ正面から撮影した緻密かつ鮮明な顔画像であること。
識別精度の劣化要因であるが、顔の経年変化・表情の有無・眼鏡等の有無は顔画像識別ソフトウェアで対処できるので識別精度劣化の主要因ではなくなっている。
「監視カメラで捉える顔画像」については、デジタルカメラに優位性がある。デジタルカメラにはネットワークカメラとHD-SDIカメラの2つのタイプがある。
HD-SDIカメラではアナログカメラ用に既設の同軸ケーブルをそのまま用いて、監視カメラの高精細デジタル化が可能である。
デジタル監視カメラ選定上の留意点としては高速シャッター撮影が可能であることとプログレッシブスキャン方式であることである。
iiの「監視カメラで捉える顔画像：ほぼ正面から撮影した緻密かつ鮮明な顔画像であること。」を満たすことは難しい。
どのような顔画像であれば良いのかについては、裏付けとなる以下の2つの実験がある。
I. 米国立標準技術研究所の「顔画像認識に係るベンダーテスト」（2014.05）
II. 法務省の「日本人出帰国審査における顔認証技術に係る実証実験」（2014.11）
Iの考察としては画像の緻密さの改善や鮮明さの改善が重要であること、また、同一人物を捉えた一連のライブ映像の中から、サンプリング手法により照合に適した
顔画像を抽出して、ターゲット顔画像との照合に利用する必要があることである。
IIの考察としては、システム全体としての識別精度向上には、顔画像識別技術の性能向上よりも、撮影システムの性能向上のほうが遥かに効果的である。
特許は「同一人物を捉えた一連のライブ映像の中から、サンプリング手法により照合に適した顔画像を抽出して、ターゲット顔画像との照合に利用する」ところを
具体化したものを申請して取得した。
質問：目の間隔などのチェックポイントは何か所ぐらいあるのか？
回答：指紋の照合点のようなポイントとしては捉えていない。
NECは平均顔を用いて第一主成分、第二主成分といった形で特徴をn次元で表現している。オムロンはネットのマスクを被せて、その形状をウェーブレット変換している。
5. 初参加者挨拶
初参加の林由佳さんから自己紹介および初参加の感想があった。
6.今後の予定
次回の例会は11月2日。メインテーマはRPA(仮)関連で講師は綿貫さん(仮)、サブテーマは「技術屋目線での水泳大会出場」講師は本田さんの予定です。
皆様の多数の参加をお願いします。
以上
（議事録担当　夏目貴史）