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IT21の会（平成２２年１１月）第１４８回議事録

日 時：平成22年11月05日(金)　18時30分～20時40分 ‌

場 所：日本技術士会　葦手第二ビル　５階会議室 ‌

出席者：（順不同敬称略）: ‌　　　　

中原俊政、山下茂雄、牧野淳史、小西洋三、廣吉康平、秋葉俊哉、田中和夫、高津智成、木原聡、犬伏裕之、嶋田弘僧、本田和幸、田中茂、川畑真一、安部文武（記）、以上15名

〈配布資料〉

・ 1011-0　参加票・ 1011-1 オフショアプロジェクトにおけるＵＭＬの適用 
・ 1011-2　月間地震予報（２００８年１月～２０１０年９月）の自己評価 
・ 1011-3　１４期会則・細則見直し進捗状況

1.【講演：「オフショアプロジェクトにおけるUMLの適用」】 ‌　 講師：中原　俊政氏

概要：現在、オフショアソフトウェア開発は、一般化してきたが必ずしもプロ ジェクトが成功裏に終了するというところにはいたっていない。 このような状況のなかで日本側の企業とオフショアソフトウェア開発企業との 間の意思疎通の重要な手段としてモデリング技術(UML)が注目されている。 オフショアソフトウェア開発へのUML適用に向けた取り組み、UMLの適用事例、 オフショアプロジェクトを成功させるには、UMLをどのように適用すればよいか を講演していただく。

(ポイント)

◎オフショア開発に関するアンケートの実施 　2006～2007に、UMLモデリング推進協議会(UMTP)参加企業(日本、中国)を中心に実施

アンケート結果抜粋

オフショア開発にUMLを導入すると　　　　　　　　　　賛成の割合(%)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 日本　　中国 　

・UMLによって生産性が向上する　　　　　　　　　　　 36　　　83 　

・UMLによって発注元(日本)からの手戻りが少なくなる　 45　　　65 　

・UMLによって品質が向上する　　　　　　　　　　　　 51　　　67 　

・仕様にUMLを使うと曖昧性を低減できる　　　　　　　 69　　　80 　

・仕様にUMLを使うと仕様変更の影響範囲を把握しやすい 63　　　74 　

・レビューでUMLを使うと説明内容を効果的に伝える　　 69　　　71 　

・発注元(日本)とのコミュニケーションが促進される　　 48　　　70

　　すべての項目で中国の方が賛成の割合が高い。

　　中国の方がUMLに対する期待度が高い。

◎オフショア開発向けUML適用ガイドラインの紹介 　

・システム開発のどの工程で、どの図（UML以外も含めて）をどのように適用 すれば効果的かをまとめ、「オフショア開発向けUML適用ガイドライン(以降 ガイドラインと略す)」を作成した。 詳細設計～単体テストまでをオフショア側で担当することを前提。 　

・開発のノウハウを２２項目示してある。 各工程で、どのようにUMLを使用すればよいかをサンプルを載せて説明して ある。

◎ガイドライン/UML適用事例 　この1年間で、6件の事例を集めた。 　

・どの事例もクラス図、シーケンス図を使用している。 ユースケース図、ステートマシン図、アクティビティ図、パッケージ図を使用している事例もある。

・UMLを使用することにより、以下の効果があった。 オフショア側に正確に仕様を伝達でき、理解度が向上した。 文章に比べて分かり安く、間違いが減った。 実装・テストの効率が向上した。 ドキュメント翻訳の効率がよかった。 UMLできっちり設計していたため、保守をオフショアで実施できた。 　

・UML使用時は、以下の工夫をした。 　　

オフショア側が作成した図をレビューすることで、理解度を把握した。 不良の修正内容は、UMLでレビューした。 構造図(クラス図）と振る舞い図(シーケンス図等）を比較して問題点を摘出した。

・成功へのポイント 　　

UMLを適用する場合、プロジェクトのメンバーのスキル、経費等を考慮し、その範囲内で導入可能な図を選択するのがよい。いきなり本番適用ではなく、パイロット的にUML使って効果を体感しながら導入するのがよい。必要に応じてUMLの教育が必要。

・ガイドライン、及びガイドラインの適用事例は、UMTPオフショアソフトウェア開発部会のWebサイトからダウンロードできる。興味のある人は、ダウンロードすること。

　http://www.umtp-japan.org/modules/introd​uction1/index.php?id=36&tmid0=14

◎まとめ 　

・UMLは、オフショア開発において、コミュニケーションツールとして有効であることが実証できた。

・ガイドラインは、オフショア開発やUMLを初めて利用する人には有効である。 　

・業務アプリへのUMLの適用が少ない。

◎主な質疑応答

Q1)アンケート結果で、「生産性が向上する」の日本側の賛成が、36%と低い理由は？
⇒UMLの効果は、「曖昧性の低減による品質向上を期待している」と考えている人が多いため。

Q2)オフショア開発では、文化の違いで苦労した。専門用語が正しく伝わらず誤解を招いたことがある。業務用語一覧がいるのでは？
⇒その通り。ガイドラインのポイント７に記載してある。

Q3)最後のまとめで、「業務アプリでUMLの適用が少ない」とのことであるが、開発ツールの中でUMLの図を作るのであれば、UMLを使うのでは？
⇒開発ツールとは、UMLモデリングツールではなく、フレームワークを使用してソースを自動生成することで、効率を上げるツールのことを言っている。開発ツールは、標準のクラスを持っている。そのため、開発ツールを使用する人は、標準クラスを使えば、クラスを意識しなくてよい（UMLモデリングツールでクラス設計する必要が無い）。

Q4)UMLを使用する場合、設計書(モデル）とソースの両方を修正するのか？
⇒ソースだけを修正すると設計書(モデル）と一致しなくなる。モデルを修正してソースを修正するのが基本。なお、モデルからソースを自動生成する部分もある。

Q5)顧客への納入物としてUMLが使えない場合、UMLを顧客指定の納入物に焼く直すのはたいへん。システム開発でUMLを使用するガイドラインができればよいのでは。UMLがもっと普及して一般的になればよいのでは？
⇒UMTPでは、一般の人にUMLを普及させること(システム開発以外での適用)を考えている。

Q6)官庁でシステム開発にUMLを指定してもらえれば、世間に広まるのでは？自動車業界などでは、モデル(SysML)が広まっているが？
⇒そう思う。

2.【ＰＪ－Ｇ活動報告　ＰＪ－ＪＳＮ（地震予測プロジェクト）】 ‌　 講師：犬伏　裕之氏 ‌　

・ＩＴ２１の会では、任意のプロジェクトを会員が立ち上げることができるが、

現在そうしたプロジェクトで唯一活動中のものがこのＰＪ－ＪＳＮ（地震予測
プロジェクト）である

・資料に基づき、説明があった。 　

・地震予報が欲しい人は、犬伏氏へ要連絡。また、プロジェクトに参加者を募集。 　

・ＩＴ２１の例会中の19時14分に茨城県南部M4.6の地震があったがウェザーニューズの携帯サイトでは参加者がGPS携帯を用いて自身のゆれ具合をイップットすることで関東エリアでの多数の揺れ情報を集めることができる。

・電磁波でも地震発生予測が可能。電磁波をもとにした地震発生予測も実施されている。

・地震電磁気学という分野については、電通大の早川正士教授がロシアの教授と始めた。

・技術士の中では機械部門の技術士である熊谷卓氏が逆ラジオという方式をはじめており、これは現在、ａｕの「くるかも」という情報サービスとなってきている（月額210円）。

3.【１４期会則・細則見直し進捗状況】 ‌　

・資料に基づき、説明があった。

4.【ＩＴインフラ見直しＷＧ　発足会報告】 ‌　

・１０／３１（日）、発足会を開催した。

・ＭＬの不具合（メールのロスが多かった）は、スパムフィルタのバージョンアップによるものだった。

・ホームページのタイムアウトの不具合もある。

・ＨＰ、ＭＬの移転を決定した。詳細は１２月例会で発表する。

5.【その他】 ‌　

・技術士第一次試験・第二次試験合格者祝賀会の担当を中原氏が引き受けて頂いた。

・次回、１２／１１（土）　１３：００－１７：００　大橋会館にて開催。

以上（記載者：安部文武）